入試平均点の推移からわかる2つの変革期
前回に引き続き、高校入試情報をお届けします。今回のテーマは「公立高校入試の合格者平均点」についてです。
早速、最近13年間の5科目平均点の変化を見ていきましょう。次の点数は、公立高校入試の学力検査の合格者平均点の推移です。
この13年間で、大きな変革期が二つありました。
1つ目の変革期は、2010年から2015年の5年間です。
この5年間で、5科目平均点が100点近くも下がりました。これは、脱ゆとり教育の影響です。
注目すべき点は、2013年度入試から入試制度が大きく変わったことです。それ以前は、前期と後期の2回の選抜方法がありましたが、2013年度から共通選抜に変わり、受験者の全員が、学力検査を実施するようになりました。
また、難度が大きく変化する科目もあり、平均点を下げる要因になっています。特に英語、理科、社会は、年度によって、かなり平均点が低くなっています。英語は、2016年の平均43.0点、理科は、2015年の平均37.4点、社会は、2018年の平均41.8点でした。これは、過去最低平均点を記録しています。
2つ目の変革期は、解答形式の方法が大きく変化したことです。
2017年度入試から、マークシート形式が採用されました。これは、採点ミスが発覚され、その防止対策のためと言われいます。マークシート形式が採用され、文章記述問題が年々減少しています。その影響で、平均点が少し持ち直していると言えるかもしれません。
2016年と比較しますと、2018年は文章記述問題の配点は、英語が20点分から5点分、国語が20点分から6点分、社会が18点分から5点分それぞれ大幅に減っています。また、昨年度入試では、理科と社会の記述問題がなくなりました。数学の解答形式にも変化があり、数値を記述する問題が、数値をマークする形式になりました。
以上のように、平均点の変化は、入試制度の変更、出題形式の変化に影響することがわかります。
2年前の2021年は、コロナ禍による臨時休校の影響で、入試の出題範囲が縮小されました。結果的には、社会の平均点が大幅に上がったこともあり、5科合計の平均点が8年ぶりに300点を超えました。
昨年度の2022年は、記述解答形式の出題が減ったにもかかわらず、理科以外の4教科で平均点が下がり、再び280点台に戻りました。数学では難しい問題が増えて得点差がつきにくくなりましたが、英語、社会などでは中難度の出題が増えたため、得点差が大きく出る入試となりました。
ここ数年で、マークシート形式の解答は増えましたが、英語の長文読解の総語数は過去最大、グラフや資料を深く読み取る、判断力や思考力が問われる問題は増加傾向です。今後の対策としては、まずは入試問題の特徴を知ること、自分の弱点分野、得点源となる問題を把握することがポイントになります。
今週もありがとうございました。