科学的根拠にもとづく勉強法とは?
今回は、最近読んだ本、竹内龍人著「進化する勉強法」についてご紹介します。この本は、2年ほど前に読んだことがあるですが、実験的に実証された勉強法が紹介され、大変実践的かつ説得力のある内容でした。今回、講習前のタイミングでしたので再読してみました。
著者竹内氏の専門である実験心理学は、実験により、人間の心のはたらきや認知機能の解明を目指す学問です。実験心理学は、科学的な実証をもとに、人間の脳のしくみに合ったベストな学習方法を探究できる利点があります。
この本では、その実験心理学を用いて、脳のしくみに合った学習法なら無理なく効果が上がる、科学的な実証に基づいた「効率のよい勉強法」が記載されています。
効率のよい勉強法は「分散効果」と「テスト効果」
成績が上がらない理由は人によって違いますが、学習の効率を上げるため、万人に役立つ考え方としてぜひ知っておいていただきたいのが、「分散効果」「テスト効果」です。竹内氏の本を引用します。
「分散効果」とは
本当に記憶に残る勉強法は「復習」です。そして復習にはテクニックがあります。
復習というと「学習後にすぐする」というイメージがあるかもしれませんが、学習後にしばらく時間が経ってから復習する「分散学習」が有効であり、かつ最も効果的にであることがわかっています。
これは、記憶ができあがるためには、脳内で数日かかるという特性をふまえた「分散効果」を活用した勉強法です。
記憶が必要な勉強、つまりあらゆる分野の学習で有効です。時間をあけた方がよいという考え方は直感に反します。それでも復習する前には時間を取ったほうがよいのです。
「テスト効果」とは
テストをすることは意味があり、実はテスト、特に本番前の小テストを活用することで、学習成果を効率的にアップさせることができます。
これは「テスト効果」と呼ばれています。テストを利用して、学習したことを自分で思い出す努力をすることで、脳に覚えたことがしっかりと定着するのです。
そして、この「テスト効果」と「分散効果」とを組み合わせることで、学習の効率性は最大になります。
テストを単純に学習成果を試す機会としてではなく、「学習方法」として積極的に活用してみましょう。
等間隔に分散して小テストを実施!
中学生の夏期講習では、どの科目も毎回小テストを取り入れています。例えば、中1・中2は、英語は「文法と英単語」、数学は「計算問題」を、中3の受験生には、英語、数学だけでなく、理科、社会も中1・中2の復習を細かく分けて、小テストを実施します。
小テストは覚えた直後にするのではなく、1~2日の間隔をあけて次の授業時に復習します。まさに、「テスト効果」と「分散効果」とを組み合わせて、竹内氏がすすめる「効果を得るための勉強法」を実践していきます。その効果については、この夏もしっかり検証していきたいと思います。
しかし、テスト効果を得るためには、子どものやる気を引き出すことが大事です。これは、竹内氏も述べていましたが、子どもの「自己コントール能力」に関わってきます。自己コントロール能力を高めるには、成功体験を積み重ねることが重要です。小テストの実施が、自己コントロール能力を高めるきっかけになることを願っています。
今日はこのへんで終わります。